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2020.02.06 なぜ「教員養成フラッグシップ大学」が必要?
高等学校でも求められるSociety5.0に向けた教員能力

2020年1月23日に文部科学省中央教育審議会初等中等教育分科会教員養成部会教員養成のフラッグシップ大学検討ワーキンググループより
「Society5.0 時代に対応した教員養成を先導する 教員養成フラッグシップ大学の在り方について」という最終報告が取りまとめられました。
皆さんの広報対象の一つである高等学校の教員にあらたな教育力が求められている大変な状況であることことがわかります。


「教員養成フラッグシップ大学」って何?

フラッグシップとは「旗艦」。
日本海軍連合艦隊なら長門や大和、日露戦争なら三笠となります。戦略的に最も重要な位置づけ、先導的、代表的な立ち位置にあるもの、それがフラッグシップですね。
そして、「教員養成フラッグシップ大学」とは、Society5.0 時代に対応した教員養成 を行う大学全体を先導する大学のことです。
2021年度からの取組の開始を想定し,2020年度中に初回の公募・選定を行うことが望ましいと提言されています。
教員養成学部を持つ大学にとっては、(広報的観点で見るなら)教員養成を先導する大学としての位置づけを獲得するチャンスとも言えるかもしれません。

なお、「教員養成フラッグシップ大学」公募の要件はいくつかあります。
教員養成から学校現場での実践(研究開発から実装)までを通じた一体的な取組,検証を行うため,教員養成を主たる目的とする学部又は学科等,教職 大学院,附属学校(又はこれに準ずる連携協力校)を全て備えており、全学体制で取り組めること、教員養成の先進的な取り組みの実績があること等が求められます。
その一方で、「教員養成フラッグシップ大学」として指定を受けた場合には、既存の仕組みに縛られることなく先導的・革新的な取組に挑むことができるよう,国が特例的な扱いを可能とする制度改革・整備を行い、制度面・予算面での支援が必要であろうとも報告書では指摘されています。

 

「教員養成フラッグシップ大学」はなぜ必要?

さて、そもそもなぜ「教員養成フラッグシップ大学」なるものが必要なのでしょうか?そこで、あらためて「教員養成フラッグシップ大学」とは何か考えましょう。すると、そこから初等中等教育の現場に求められている状況が見えてきます。

教育再生実行会議第十一次提言「技術の進展に応じた教育の革新,新時代に対応 した高等学校改革について」(令和元年5月 17 日) において、下記のような提言が見られます。


「国は,今後の社会変革に伴う教育革新の大きな流れを見据え,教師の ICT 活用指導力の向上,アクティブ・ラーニング,個別最適化をはじめとする Society5.0 に対応した,産業界とも連携し教員養成を先導するフラッグシップ大学(例えば教員養成の指定大学制度等)を創設する。フラッグシップ大学は,既存の制度の特例や弾力化も視野に,スタッフやカリキュラムなどの指導体制を検討し,構築する。」
「国は,教員養成を先導するフラッグシップ大学をはじめとした教員養成機関において,AIやIoTなどの技術革新に伴って変化するこれからの社会で活躍することのできる人材を育てるために,STEAM教育や,児童生徒がICTを道具として活用することを前提とした問題発見・解決的な学習活動等についての高い指導力を有する教員の育成を促進する。」
「国は(中略)教員養成を先導するフラッグシップ大学における ICT活用指導力に関する取組等を通じて,教職課程を持つ大学において ICT 活用指導力の向上を実現する充実した教育が行われるよう支援する。」


 

つまり、

来たるべき
Society5.0 に対応するためには

これからの初等中等教育者に
ICT活用指導力
STEAM教育力の向上が不可欠になる

だから「教員養成フラッグシップ大学」が必要になるということです。

 

Society5.0とは

では、Society5.0とは何でしょう。内閣府の説明から抜粋・加工し、ご紹介します。

Society5.0とは狩猟社会(Society 1.0)、農耕社会(Society 2.0)、工業社会(Society 3.0)、情報社会(Society 4.0)に続く、新たな社会を指すもので、第5期科学技術基本計画において我が国が目指すべき未来社会の姿として初めて提唱されたものです。

Society4.0の情報社会では、人がサイバー空間(仮想空間)にあるクラウドサービス(データベース)にアクセスし、情報を入手し、分析を行います。

Society5.0では、フィジカル空間(現実空間)の情報がセンサー等を介してサイバー空間に集められ、ビッグデータとなります。これをAI(人口知能)が解析し、その結果がフィジカル空間にいる人にフィードバックされます。
Society4.0と異なり、人がわざわざ情報を入手・分析することなく、新たな価値がもたらされるようになる社会、それがSociety5.0です。

 

ICTとは

ICTとは「Information and Communication Technology」の略です。「情報伝達技術」のことです。「情報技術」を表す「IT」に「Communication」の「C」が加わっています。人と人、人とモノをつなぐ「伝達する」情報技術です。まあ、ほとんど「IT」と同じようなものと思っていても問題はないでしょう。

なおIoTは「Internet of Things」の略で「モノのインターネット」ともいいます。「身の周りのいろいろなモノがインターネットに接続している」その仕組みのことです。パソコンなどだけではなく、テレビやゲーム機、カメラや電子レンジ、バスなど、身のまわりのいろいろなモノがインターネットに繋がっていますよね。

 

STEAM教育とは

さて、最後にご紹介するのはSociety5.0やICTに比べ、耳にする機会の少ないであろう「STEAM教育」です。
以前はSTEM教育と言っていたものにAを加えた教育手法で、STEAMは

Science(科学)
Technology(技術)
Engineering(工学)
Art(芸術)
Mathematics(数学)

の略です。

STEAM教育とは「Science,Technology,Engineering,Art,Mathematics 等の各教科での学習を実社会での課題解決に生かしていくための教科横断的な教育のことを指しています。
科学知識や技術だけでなく、Art(「芸術」や「デザイン」だけでなく、広く「人文・社会」として捉えられています)を加えている点がポイント。
文系・理系を分断せず、文理両方の知識を使い、社会課題や身近な課題の解決、新たな価値の創造を試行錯誤しつつできるようになるための横断的な教育手法であり、

「より多くの優れた STEAM人材の卵を産みだし、将来、世界を牽引する研究者の輩出とともに、幅広い分野で新しい価値を提供できる数多くの人材の輩出」が求められているゆえに、新時代に対応した高等学校教育の在り方としては、高等学校時代に「思考の基盤となるSTEAM 教育を、すべての生徒に学ばせる必要がある」ということです。
(令和元年9月4日 文部科学省教育課程部会資料「STEAM教育について」より)


これらのSociety5.0を踏まえて必要となるSTEAMやICTの活用能力は、文部科学省だけではなく経済産業省等からも求められているものです。

高等学校をはじめとした初等中等教育現場の教員のみなさんの、時代に応じて変わり続けねばならない大変さが感じられませんか?

いま、大学や専門学校広報の皆さんは、受験生確保を目指し、学校訪問を行なっているかと思います。
訪問先の先生方は日々の授業や進路指導、生活指導の他に、これらの新しい取り組みに挑む苦労や悩みも抱えています。言うまでもないことかもしれませんが、皆さんはその貴重なお時間を頂戴して訪問先で学校説明させていただいていることをこの機会に改めて感じていただければ、と思います。
分厚い学校案内パンフレットや募集要項を渡されても、読み込んで他の大学との違いを明確に把握するなんて時間や余裕はありません。大変な状況に置かれている高等学校の先生が最も必要とする情報は抜粋して「ひと目で分かる」「簡単に分かる」ように整理したものも提供できるととても喜ばれるでしょう。

また、高等学校とコンタクトをとるときには、受験生のメリットに直接つながる進学情報の提供だけでなく、時には
お悩みを抱える先生方自身のメリットになるような情報提供や新しい教育方法を学ぶ機会のご提案も添えられると喜ばれるかもしれません。

ぜひ「忙しい中でも会えて良かった!」と言っていただける学校訪問を実現してください。


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