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2020.05.15
オンライン授業! でも著作権対策は大丈夫?
「授業目的公衆送信保証金制度」スタート
皆さんの学校ではzoomやTeams等をはじめ、様々な方法で遠隔授業を行っていることと思います。
そのためにシステムや機材の準備、担当する教員・補助者の手配・教育等々、ご準備されていることでしょう。
では、教材についての対応・準備はどうでしょうか?
学生のパソコンに送信する著作物の許諾は?
遠隔授業を行うにあたってやるべき授業の演出準備はたくさんあろうと思います。
・小さめのスクリーンでも見やすい画面表示や板書への研究
・板書へのピント(フォーカス)
・聞き取りやすい音声(マイク)。。。。
等など、さまざまなでしょう。
しかし、その前に注意しておきたいことがります。それは資料を学生のパソコンに送信する場合の著作権(公衆送信権)対応です。
教室内での対面授業ならOK
これまでは、「営利を目的としない教育機関」である学校教室内における、ごく普通の教員・学生の対面授業での資料の複製・配布は、多くの場合、著作権者等の許諾なく、それが当たり前のようになされていたのではないでしょうか。
それもそのはず、上の図の左側のように、基本的には教材として必要な資料は複製してコピーを配布することは原則OKなのです。
*ただし、この場合も、使用者の購入が前提となっているワークブックやドリルなどは、著作者に無断複製しての授業使用は許されません。
*その他、条件の詳細は著作権法第 35 条確認のこと。詳細は「著作物の教育利用に関する関係者フォーラ ム」が4月16日にまとめた「改正著作権法第35条運用指針(令和2(2020)年度版)」に詳しいのでご確認ください。
さて、
ここで確認したいことは、
果たして「遠隔授業においても」これまで通りに著作権者等の許諾なく、著作物を複製したり、公衆送信(放送、有線放送、インターネット送信)したりすることが許されるのか、ということです。
これまでなら「インターネット経由はNG」!
実は、「だめ」「許されない」のです。
下記の図を御覧ください。
あくまでも、インターネットを経由して提供するのは授業目的でも35条の範囲外なので原則NGなのです。よって、著作権者の許諾が必要となってしまいます。
えっつ!でも、
「最初の青い図の右側では、遠隔授業で送信しても大丈夫そうじゃないですか!」という疑問をお持ちの方もいらっしゃることでしょう。
ところが、そこで許されていたのは、主会場では教員と学生で授業を実施しているという前提があるからです。
あくまでもそれを副会場に中継する場合については、主会場で使用している資料の副会場への送信が許されていただけの話なのです。
くりかえしますが、これまではインターネットを経由して提供するのは、それがたとえ授業目的であっても35条の範囲外であり、原則NG(要許諾)だったのです。
そこで「授業目的公衆送信補償金制度」の登場!
そうはいっても、教育のICT化を進めましょうなどと言っている中、このままではとても不便ですよね。
しかも、この新型コロナウィルスで、オンライン教育は待ったなしです。
そんな中、オンライン教育に取り組む教育界を後押しする制度「授業目的公衆送信補償金制度」が施行されました!
下記に文化庁の「授業目的公衆送信補償金制度の早期施行について」を一部抜粋しました。御覧ください(一部引用・太字:引用者)
今般の新型コロナウイルス感染症に伴う遠隔授業等のニーズに対応するため,平成30年の著作権法改正で創設された「授業目的公衆送信補償金制度」について,当初の予定を早め,令和2年4月28日から施行されました(令和2年4月10日に施行期日を定める政令を閣議決定しています)。
学校の授業の過程における資料のインターネット送信については,従来は個別に権利者の許諾を得る必要がありましたが,本制度の施行により,個別の許諾を要することなく,様々な著作物をより円滑に利用できることとなります。
そうなのです!
今、新型コロナウィルス感染症でやむを得ず遠隔授業に取り組み始めた学校の皆さんのために前倒しで施行された制度によって、無許諾での活用(厳密に言えば、個々の著作物ごとの許諾を要しない活用)ができるようになったのです。
ただし、条件があります
まずはSARTRASへの届け出が必要です!
(令和2年度は無償で利用できます)
「本制度の施行により,個別の許諾を要することなく」ということは、「個別」以外の許可なり申請なりが必要ということでしょうか?
それについては、一般社団法人「授業目的公衆送信補償金等管理協会」(略称:SARTRAS)の「 授業目的公衆送信補償金制度の概要=4月28日開始 遠隔授業等での著作物利用が円滑に=」から御覧いただきましょう(一部抜粋・太字:引用者)
この制度がスタートすると、教育機関での授業で教員が文学作品、論文、新聞記事、写真など の著作物を児童・生徒の予習・復習などのためにインターネットを利用してメール等で送信することが、無許諾で可能になりました。
従来は、紙での配布は無許諾で可能でしたが、インターネット利用の送信では、原則として著 作権者の許諾を得ることが必要でした。制度がスタートしたことで、著作物の利用時の教育現場の負担が大きく減りました。
この制度を利用する場合は、教育機関の設置者(教育委員会、学校法人など)は、著作権者によるワンストップの団体に補償金を支払うことが必要です。それは、著作権者の権利や著作物の創造のサイクルに配慮するためです。
このワンストップの団体として2019年2月に文化庁長官の指定を受けた法人が、一般社団法人「授業目的公衆送信補償金等管理協会」(略称:SARTRAS)です。
制度・届け出の詳細は一般社団法人「授業目的公衆送信補償金等管理協会」(略称:SARTRAS)のサイトも御覧ください。
なお、本年度は無料ですが、2021(令和3)年度以降の保証金の額については現時点では未定とのこと(5月10日時点 上記SARTASサイト「補償金制度 よくあるご質問」より)です。
もちろん「必要と認められる限度」はあり、何でもかんでもOKというわけではありません。「客観的に見て授業に必要な部分、部数」を超えて「著作権者の利益を不当に害する」ことは許されません。それでも、遠隔授業における著作物の使用に対するハードルは低くなったということはいえそうです。
それと同時に、私たちがここで学んだ大事なことは、遠隔授業を行うにあたっては「著作権意識」を(これまでの教室内で完結していた授業よりも)より高く強く持つことが必要になったということに改めて気付かされたということです。
今後、音楽著作権のようなことが起きるかどうか、補償金額の負荷がどの程度になるか未定*ではあります。
より注意して対応していくことが求められましょう。
*補償金額が発表されました。「授業目的公衆送信補償金制度【補償金額】の概要」記事をご参照ください。
追記(注意点)
下記での配信は授業に該当せず、許諾のない配信はNGです。授業以外での運用ではご注意ください。
- 入学志願者に対する学校説明会
- オープンキャンパスでの模擬授業等
- 保護者会
- 教職員会議
「改正著作権法第35条運用指針(令和2(2020)年度版)」(著作物の教育利用に関する関係者フォーラム)
にて,授業に該当する例と該当しない例を掲載しています。
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